黒船より愛を込めて。

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感情とは?人間とは?「あの日見た景色をもう一度」をご紹介!

久しぶりのご紹介頂いた作品の感想、第9弾。

作者様は霧塚 葵様。作品名は「あの日見た景色をもう一度」。

 

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ざっくりあらすじ紹介

主人公は、アンドロイドを買いに来た青年。その主人公は、自らを不良品だと言う美少女アンドロイドと出会い、買うことに決める。何故不良品なのか?それは、アンドロイド自身に感情がないからだという。それが原因で1年後には廃棄されてしまう。そんなアンドロイドに感情を抱かせるために、一緒に過ごすことになる主人公。そして、ひょんな事から勤めることになったアンドロイドサポートセンターなどの活動を通じながらアンドロイドの感情を取り戻していく。大体こんな感じだと思う。多分。半分くらいはあってるハズ。少なくともかすってはいるだろう。

 

みんな大好き!不良品というジャンル

この話を読み始めてすぐに、いろんな作品が脳裏によぎった。「火の鳥」、「ドラえもん」、「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン」、「ニーア・オートマタ」、「デトロイド」などなど。もうありすぎて書ききれないぐらい不良品のロボットやアンドロイドを題材にした作品はめちゃくちゃある。しかも、手塚治虫が書いているぐらいかなり昔から。もはやありずぎて他にもこんな作品があるぞ!とクレームが来そうなレベルだ。クレームはHatenaBlogに送ることで解決して貰おう。それぐらい古くから多くの人に愛されているジャンルなのだ。

先に紹介した不良品のアンドロイドやロボットたちは様々で、人間と共に成長したり、危害を加えたり、極端な自分の感情に悩んだりする。今回の作品は、感情がないという点で不良品であり、主人公と共に成長するタイプのアンドロイド。主人公と共に過ごすことで、アンドロイドが人間らしくなっていく様が人の成長を見守る保護者のような気持ちで読むことができ、結局は消耗品として扱われるアンドロイドの運命に感情移入してしまうが本作の魅力のひとつだ。

 

感情とはなんぞや?モヤモヤが募る日々・・・

この作品を読んだとき、一つ違和感を感じた。このアンドロイド感情あるやん、と思ってしまった。感情がないというより素っ気ないに近いような、こんな人どっかにおりそうだなと読みながら考えていた。しかし、劇中では人や他のアンドロイドから感情がないと言われている。私が虚言癖の人間ではないとすると、この差は一体何なのか?しばらく考えたがモヤモヤしたまま答えは出なかった。ていうか気がついたら梅雨きそうやん。このまま気分も天気もモヤモヤにする訳にはいかない。とりあえず前進するために、Wikipediaさんの力を借りて感情の意味を調べると、

 感情(かんじょう)とは、ヒトなどの動物がものごとや対象に対して抱く気持ちのこと。

正直、よく分からなかった。大体気持ちって何やねん。今度はコトバンクを使って気持ちの意味を調べてみると、

 物事に接したときに心にいだく感情や考え方。

 いや、無限ループしとるやん!答えに感情はいってるやん!なんだか狐につままれたような気分だ。怒りの感情をあらわにしながら、モヤモヤは更に膨らんでいく。気分転換に闇金ウシジマくんを読んだから余計にモヤモヤする。この気分を何とかしようと本棚を漁っていると星新一の「ボッコちゃん」という本が見つかった。この本について語ったら、睡眠時間が無くなるのでまた別の機会に紹介する。タイトルにもなっている「ボッコちゃん」は、バーのマスターがお客さんを増やすために作った美人ロボットのボッコちゃんが登場する。ボッコちゃんは簡単なロボットだから基本相手が言ったことのオウム返しをすることしか出来ない。しかし、劇中では男から大人気で、愛しすぎて結婚まで申し込む男が出てくる始末。この話を思い出したときに、自分の中に電流が走った。

 

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これだよ!ボッコちゃんだよ!と。意味が分からない全世界70億人の人の為に説明すると、感情とは受け取る側によって判断されるモノであるということだ。例えば、ボッコチャンはオウム返ししか出来ないが本気で結婚を申し込む男が現れた。つまりこの男から見るとボッコちゃんは感情のある女の人だったのだろう。他にも以前、簡単な受け答えができるロボットと話した人たちにロボットの感情について感想を書いて貰うと、人によってバラバラの回答が帰ってきた、という研究結果をよんだことがある。つまり、私がこの作品のアンドロイドに感情があると感じてしまったのに劇中の人は感情がないと言っているのは至極当たり前のことだったのだ。だって別々の人だもの。なんだか人間の神秘について理解できたような気がする。この作品には、スゴい学ばされた。さすがは歴史あるジャンルに挑んだ作品だ。このように学びがある本作をミナサマにも是非読んで欲しい!

 

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